愛知県で行政書士をしています、Tana。です。
50歳を目前にして資格取得を目指し勉強を開始、55歳で行政書士登録をし、事務所を開設しました。
「なぜその歳で取ろうと思ったの?」
とよく聞かれます。
ここではその経緯などについて書いていこうと思います。
きっかけ
私には二人の子供がおりますが、下の子が高校生になったころだったと思います。
下の子は自宅から少し遠い高校へ通っていたので、帰宅時間が中学生の頃より少し遅くなり、上の子は大学進学のために自宅を出て一人暮らしをしていました。夫も仕事の帰りが遅くなることが多いため、診療所で働く以外は一人で過ごす時間が多くなり、夕食も一人で取ることが多くなりました。
子どもの手が離れ楽になった反面、それまでが忙しくしていた分、空いた時間に何をしたらいいのか分からない・・・
そんなときにふと「このまま自分の人生は終わっていくのだろうか?」と。
後に友人から言われましたが、これは50代あるあるだそうで(笑)
「もの思う50代ね」と。
ここまではよくある話だそうです。
とは言え、いきなり「行政書士になろう!」と思ったわけではなく、それからは模索の日々でした。
かねてから興味があったスクーバダイビングのライセンスを取得してみたり。
仲のいい同世代の友人と海外旅行に行ってみたり。
面白そうな習い事がないか検索してみたり。
おかげで趣味は増えましたが、何か満たされない・・そういうことじゃない。
楽しいけど、これではどんどんお金を使ってしまうばかり。
まだまだ子供たちが大学を卒業するまでは頑張らないといけない。
そしてあと10年もすれば定年退職ではないですか。
・・・・え?定年???
いやいやいやいや・・・待って無理。
もちろん、ある程度の年齢になったら働かずのんびり過ごすことは素敵なことですし、そんな人生を否定はしません。
むしろ憧れます。
でも私には60歳ではまだ早い・・・気がする。
そしてふとい思い出しました。
ずっと以前、まだ子供たちが小さかったころ。
医療事務ではなく法律系の仕事がしたくて、行政書士や他の仕業について調べていたことを。
どうしよう。
今ならまだギリギリ間に合う?
まだなんとか体力も気力もある。頑張ればきっと・・・
そして50歳の誕生日が半年後に迫ってきているある日、思い切って行政書士試験に挑戦すると決めました。
受験生となる
受験をすることを決めた後は、もう突き進む以外にありません。
ここで一つ、なぜ行政書士なのか?ですが。
よく、医療事務として医療機関で働いた経験が長いなら、社労士の方が勉強しやすいのでは?と聞かれます。
確かにそうかもしれませんが、一番大きな理由としては、私が海外駐在経験があったため国際業務に興味があったからです。在留資格の申請取次は行政書士と弁護士の独占業務になるため、行政書士がいいかなと思いました。
現在は、医療機関手続きと、医療・介護における外国人雇用、高齢者支援などを業務にしています。
いざ受験をすると決めたはいいですが、何からどう手を付けたらいいのか全く分からず、とりあえず書店へ行ってテキストや過去問を購入し、読んでみましたが・・・案の定、全く分かりませんでした。一つ一つの言葉の意味も分かりません。
これではまるで勝負にならないと思い、早い段階で予備校に申し込みました。仕事があったのと交通費をかける余裕がなかったため、すべてオンライン受講です。
あとはひたすら配信された動画を見て、届いたテキストを読み、過去問をやる。
これの繰り返しです。参考になるような特別な勉強法でもないので、割愛させていただきます。
仕事と家事の合間にひたすら勉強をしましたが、11月の試験日までに(10か月ほどあったと思います)何とかなるはずもなく、1回目の受験は正直「記念受験」でいいやと開き直っておりました。
もちろん結果は撃沈です。ショックもなく落ち込みもしませんでした。
そして何事もなかったのように、次の年に向けて勉強を続けます。
実はこのあと更に2回(合計3回)不合格を経験します。
歳のせいにはしたくないと思っていましたが、やはり若い時のようにはいきません。
記憶力も体力も全然違います。医療機関に勤めていたため、コロナの予防接種が始まったときや、診療所でも発熱外来が始まったときなどは本当に激務で、疲れて帰宅した後に勉強するという気力も体力もなかったように記憶しています。
とはいえ、3回不合格はそもそも向いてないのでは?
しばらく悩みましたが、ここで諦めたら一生後悔するかもしれないと思い、4回目に挑むことを決めました。
4回目の受験です。
4回目ともなると過去の失敗などから学び、前日の準備から勝負は始まり、家を出て受験会場につき着席するまでの全てが試験に影響することを知っています。食事の時間と量、お手洗いのタイミングなど全て。万全を期して試験に挑み、これで不合格だったらきっぱり諦めようと覚悟を決めていました。
試験が終わって自己採点をし、その時点では記述次第という何とも言えない結果でしたが、とりあえずやるだけやったという自己満足に浸ってしました。
それから約10日後です。
いつも隣で寄り添っていてくれていたトイプードルが、息を引き取りました。
まるで、役目を終えたと言わんばかりに。
それまで2年間ほど糖尿病を患い、14歳をすぎた頃からは悪性リンパ腫もありました、高齢だったため、積極的な治療はしないでいました。
悲しくて悲しくてとてつもない喪失感・・・食事も喉を通らないし、無理やり食べても味なんて分からない。とにかく涙が止まらない。何も手につかないし、何もしたくない。
亡くなったのがもし試験前だったら、絶対に勉強や受験どころではなかったな・・・会場に行く気力すらなかったかも。勉強する私の隣にいつもいてくれたあの子だから、タイミングを選んでくれたのかしら。そう思ったときに「ああ、合格したかのも」と。
結果は合格。4年かけてようやくです。
嬉しいという感情よりも「やっと終わった」という思いでした。
実は「始まり」なんですけどね。
合格後
結果発表までの2か月間は、犬がいなくなった悲しみから楽しいことをする気分でもなかったのと、4年の間にすっかり勉強をする習慣がついていたのもあり、年末からFPの勉強を始めました。
1月の結果発表の頃にFP3級を受け合格、そのままの勢いで5月の2級を受験し、合格。すぐに次なる資格に宅建を選び勉強をはじめました。
それと同時に、開業準備を始めました。
合格後にすぐ開業できるよう発表後すぐに、或いは発表前からあらかじめ準備を始めておく先生も多くいらっしゃいますが、私は1年以内に開業できたらいいな、くらいに思っていたので、のんびり準備をしていたと思います。
宅建は、FP2級を受験後にすぐ申し込みをし1回受けていますが、準備期間が短すぎて不合格でした。2回目の受験で合格しています。
その後も民間資格も含め、結局ずっと何かしらの試験を受けています。
他資格を取るかどうかは別としても、行政書士である以上、勉強は永遠に続きますね。
果てしないですが、それも楽しいです。もはや、趣味となっています。
開業
前述したように、合格発表後も他資格を受けたりしていたので、割とのんびり開業準備をしていた方だと思います。
あまりお金をかけたくなかったので、なるべく小さく始めようと思っていました。
机、本棚等の家具類やプリンターなどの事務用品は、タイミングよく知り合いや職場から譲っていただく事ができたので、新調はしていません。
新しく購入したものと言ったら、仕事用のPCとFAX、耐火金庫くらいでしょうか・・・運が良かったと思います。
合格後は、すべてが開業に向けて誰かに背中を押されているような感じで事が運んでいきました。
合格まで4年もかかってしまいましたが、きっとこれが私の「タイミング」だったんだなと思います。
4年かかったおかげでコロナを通し、ひとり暮らしの高齢の方が普段の生活の中で不安をかかえていらっしゃるのか分かりました。
開業後に、高齢者の方の支援を業務の一つにしたいと思ったのも、その経験があったからです。
そして4回目の試験からちょうど1年後に行政書士登録をし、開業の運びとなりました。
最後に
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
50歳からの私の挑戦でした。
参考になることが一つでもございましたでしょうか?
40歳、50歳、60歳・・・それぞれのタイミングで思うことは色々あるかと思います。
何が正解かなんて、分かりせん。
でもはっきりしているのは、「これからの人生、今が一番若い」ということです。
悩んでいる間にも、時はどんどん進みます。
若いときはあまり感じていませんでしたが、50歳が近づいてきたころから、年々「歳をとる自分」を実感してきます。当たり前だけど漠然としていた、人生に終わりがあるということをリアルに感じてきます。
成長し、進化し続けることは本当に大変です。現状維持が精いっぱいです。それすらできません。
記憶力もお肌も体形も(笑)
今、私は60歳に近づいてきています。
でもまだまだ、ここからだと思っています。
行政書士としてはもちろん、一人の人間としてもまだ伸びしろがあると思っています。
これから何かを始めたい方。始めたいことがあるけど、迷っている方。
そんな方の背中をそっと押すことができたらいいな、お手伝いができるといいな、と思っています。
諦めずに信じて続けていけば、少しずつでもできる範囲で努力していれば、きっとご自身にとって最高のタイミングで「それ」が起こると思っています。
私のあの、苦しかった4年間も、意味があったと思っています。
無理せず自分のペースで。
今だと感じたら、臆病にならずに始めてみませんか?
そして一緒に頑張っていきましょう。
私の体験が、少しでも応援になれば幸いです。