「せっかく遺言書を書いたのに、誰にも見つけてもらえなかったらどうしよう。」「自筆の遺言書って本当に有効なの?」
そんな不安を解消してくれるのが、法務局による「自筆証書遺言書保管制度」です。
今日はこの制度について分かりやすくご紹介します。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言とは、その名のとおり自分で手書きする遺言書のことです。
費用もかからず、自宅で気軽に作成することができます。
一方、紛失や改ざん、無効のリスクがあるという欠点もあります。
家族に内緒で作成した場合、見つけてもらえなかった、なんてことになるかもしれません。
法務局で預かってくれる制度とは?
2020年7月からスタートしたのが、「自筆証書遺言書保管制度」です。
いわゆる「法務局預かり制度」です。
これは、作成した自筆証書遺言を法務局に提出し、保管してもらうことができる制度です。
制度を利用するメリット
1.家庭裁判所の「検認」が不要!
通常、自筆証書遺言は相続開始後に未開封の遺言書を家庭裁判所に提出し「検認」という手続きが必要になります。
検認が終わるまで、相続の手続きを開始することができません。
法務局で保管された遺言書はその「検認」が不要になりますので、すぐに手続きを開始することができます。
2.紛失や改ざんリのスクはゼロ
法務局がしっかり保管してくれますので、安心感が全く違います。
遺言書は、遺言書原本と画像データで保管されます。遺言書原本は遺言者の死亡の日から50年間、画像データを含む遺言書の情報は遺言者の死亡の日から150年間(!)保管されます。
3.遺言者が亡くなった後、相続人が検索可能
法務局に保管された遺言書があるかどうか、相続人が確認できます。
あるいは、遺言者本人が希望する場合、遺言者が指定した人への通知をしてもらうこともできます。
法務局が戸籍担当部局と連携して、遺言者の死亡の事実を確認したときに、あらかじめ遺言者が指定した人(3名まで指定可能)に対して、遺言書が保管されている旨を通知してくれる制度です。
これは、遺言書を書いたことを誰にも知られたくないといった場合に有効ですね。
この制度を利用することで、せっかく書いた遺言書をみつけてもらえなかったということにはなりません。
ただし、法務局は遺言書の内容のチェックや相談はしませんので、注意してください。
利用するにはどうすればいい?
予約したうえで、必ず「遺言者本人が」法務局に出向く必要があります。
郵送や代理人は不可です。
【必要なもの】
・本人が書いた遺言書
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
・保管手数料 3,900円
こんな方におすすめ
・公正証書にするほどではないが、遺言書を確実に残しておきたい
・家庭裁判所の手続きを避けたい
・家族に内緒で遺言書を書いておきたい
まとめ
この法務局の自筆証書遺言書保管制度は、まだ割と最近できた制度ですが、誰にも知られずに遺言書を確実に残したい方にはとても便利な制度だと思います。
ただ、先にも書きましたが、法務局は遺言書の内容はチェックしませんので、形式ミスや内容には十分注意する必要があります。
一方、公正証書遺言は公証役場で保管されますが、通知制度はありませんので、相続人が誰も知らなかった場合はそのまま執行されなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
ですが、公証人と事前にやり取りがあり、作成当日には2人の証人が立ち合うため、安心感があります。
「遺言書はまだ早い」と思われがちですが、万が一のときに家族の負担と不安を減らすための、家族への思いやりでもあります。
元気なときにこそ、もしもの備えをしませんか?
想いをカタチににするお手伝いをしております。
お気軽にご相談ください。
コメント